ハンドウイルカたちに見られるようなとがった吻を持ちません。
日本では、仙台湾から東京湾、伊勢湾、三河湾、瀬戸内海~響灘、大村湾、有明海~橘湾に分布し、それぞれの分布域のスナメリは形態や遺伝子の研究から、別の系群とされています。
分布域に共通する地形的特性は、水深50m以浅域が沖合まで延びる遠浅であること、底質として砂泥質が卓越する海域となっています。
これまでの調査では、50m超の水深による地形的な要因で分布の分断が起きていると推測されています。
つまり、図のそれぞれの海域の間ではスナメリの行き来がないため、一つの海域で数が減ってしまったら他からやってきて数が保たれるということはないということです。
ペルシャ湾から日本にかけてのインド洋、西太平洋の沿岸海域に分布していることが確認されています。
人と同じように鼻で呼吸しています。
大きな鼻の穴が2つあって、海中では鼻をピタッと閉じられる構造になっています。海中では、もちろん息をこらえています。
陸にいる人間がスナメリを目撃できるのは、彼らがこの噴気孔を海面に出して息継ぎをするほんの一瞬です。
人と違って、気道と食道はつながっていないので、口では呼吸しません。
背中に背びれは無く、首の後ろからキール(竜骨)に沿って尾ひれ間際まで連なるイボが連なった隆起があります。
最新の研究では、この部分を個体同士でこすり合わせてコミュニケーションをとっているのではないかといわれています。また、この隆起部分の形状や幅が生息域により違いのあることも確認されていて更なる研究が進められています。
胸びれは、方向転換やブレーキなど、巧みに動かして、からだの動きを制御する役目をしています。スナメリを含む鯨類は、元々、陸上で生活していたとされていて、胸ヒレの中には人の手のように5本の骨があります。
上下に振って推進力を作り出します。
スナメリはクジラの仲間なので尾ひれは上下に動かします。
魚の仲間であるサメは尾ひれを左右に動かしますよね。
腹部には、ヘソ、生殖孔、肛門があります。
ここを見れば、一目で雌雄の判別がつきます。
写真は、デッドストランディングの個体です(打ち上げられた亡骸)。おそらく生後数週間のまだ赤ちゃんです。へその緒がまだ残っているのが確認できます。
牛窓諸島の黄島の浜に打ち上げられていたのをたまたま見守る会のメンバーが発見し回収しました。
他の鯨類に比べると、頭部を動かしやすい骨格を持っています。頸部の可動域が大きく、しなやかに動かせることも特徴です。
大海原に出ていかず、沿岸の狭い海域で自由に動き回って効率よく捕食するための柔軟性なんでしょうか?海中のスナメリは、本当に縦横無尽に動き回ります。おかげで、観察が非常に難しく、次にどこに出てくるのか予測が付きません。
背びれがなかったり、柔軟性にすぐれていたり、直進性能よりも旋回性能を重視した体つきになっているのは、沿岸で暮らすと決めたスナメリにとっては、至極当然の結果で、非常に理にかなっているような気がします。